個人が投資する場合、見落とされがちなのが、コストの問題です。往々にしてリターンの数字にばかり目を奪われて、投資にかかる費用は軽視されやすい傾向にあります。 外貨預金 しかし、現実の投資収支を考えると、コストは決して小さいファクターではありません。むしろ、真水のリターンを決定的に左右する最重要項目ですらあると言えます。 ETF 仮に年6%のリターンが見込める投資信託があったとして、各種コストが年3%であれば、本来投資家の手元に入ってくるはずの果実の半分は、金融機関側が持っていってしまう計算になります。手数料は一般的に%で表示されるので、実感がつかみにくくなりやすいのですが、1000万円を20年間、年3%のコストで運用した場合、累積コストは単純計算で600万円にものぼります。リターンの6割が手数料に溶けて消えるわけです。 例えば、第3回で説明する変額年金保険という商品や、証券会社に運用を任せる「ラップ口座」という商品では、年間のコストが3〜4%に達するものが多いのです。こうした商品が、銀行や証券会社の販売の主力になっていることは残念です。 しかし、最近は投資家からの不満に加え、金融機関側からの見直しもあって、コスト抑制型の投信も増えてきました。 くりっく365 セゾン投信が取り扱っている投信「セゾン・バンガード・グローバルバランスファンド」はその一例です。年間の運用手数料に当たる信託報酬を、契約資産の年0.77%程度に抑えています。それでいて、実質的な投資対象は国内外の株式や債券など7カテゴリーの資産に分散。世界各国の株と債券で運用する指数連動型投信に分散投資できる仕組みです。日本経済新聞社が選ぶ2007年の「日経優秀製品・サービス賞」にも選ばれています。 このほか低コストのバランス型ファンドの例としては、例えばマネックス証券の「マネックス資産設計ファンド」、SBIイー・トレード証券の「SBI資産設計オープン」、ジョインベスト証券の「ジョインベスト・グローバル・バランス・ファンド」などがあり、いずれも信託報酬は1%未満です。 ETF(指数連動型上場投資信託)という様々な指数に連動する低コストの投信を使う方法もあります。例えば楽天証券が取り扱っている、「MSCIコクサイ」という指数(日本以外の先進国の株価に連動します)に連動するETFを使えば、わずか年0.25%のコストで日本以外の海外市場に幅広く分散投資が可能になります。 資産運用 また「MSCIエマージング」という指数に連動するETFもあり、年間のコストは0.75%。何もコストが年に2%近い、一般的な新興国株投信を買う必要はないのです。ちなみに国内株でも、東証株価指数(TOPIX)に連動するETFのコストは年0.1%強です。ETFはまだ主流の投資対象とはなり得ていませんが、上場銘柄数や投資対象ジャンルは国内でも広がる傾向にあって、注目したい金融商品です。